第8章 2人が交わる時
「このまま五条の呪力が切れるのを待とう。それしか出来ない。」
私と祖母の会話が聞こえていたらしく、悟くんの呪力が切れて術式が解かれてから反転術式で治癒する、ということになった。
「意識がない以上、今までと違って呪力切れは早いはず…。」
意識がないってことは六眼は使えていない。
確か悟くんは六眼で呪力消費を最小限に抑えていたはず。
暴走しているのは無下限呪術だけだろう。
伊地知さんのスマホに連絡があり、特級呪術師の人がもう少しで着くということだった。
「それより、なんで五条は裸なんだ?寝る時は裸じゃないと寝れないとかそういうやつなの?」
「あ、それはですね…えっと…。」
伊地知さん、そのことは言ってなかったのか。
顔を真っ赤にした伊地知さんに全てを任せるのが申し訳なくなって、ことの経緯を説明する。
「つまり、やってたってことか。」
私まで真っ赤になっているだろう、どうして硝子ちゃんそんなに普通なの…?
インターホンが鳴ったので慌てて鍵を持ち、部屋を出て迎えに行く。
悟くんがあんな状態なのに照れている場合ではなかった。
ロビーまで来ると、黒髪に白い制服みたいなのを着た男の子がいた。
渦巻きのボタン…高専の制服だ。
あの子が特級呪術師だと思い声をかける。
「あの、五条悟の……。」
「あ、初めまして、乙骨憂太です!本当に五条先生は生きてるんですか?」
私も挨拶をしすぐエレベーターに乗り込む。
すごい若いよね…私よりも下だと思う…悟くんのことを先生って呼んでいるし制服だから、まだ生徒なのだろう。
住んでいる階につき部屋に入る。
寝室まで連れてきて、まだみんなにお茶を出していないことを思い出して、キッチンに向かった。
どうせ悟くんの呪力が切れるまで何も出来ないし、少しお茶を飲むくらい悟くんも許してくれるだろう。