第8章 2人が交わる時
奥に悟くんがあたった瞬間、彼の瞳が蒼く光り、私の身体は弾かれて頭をヘッドボードにぶつけた。
え……暴走した…?
ぶつけた頭を押さえながら起き上がり悟くんを見ると倒れていて、手を伸ばしても触れることが出来ない。
その身体は宙に浮いている。
無下限…悟くんの術式だ。
なんで倒れてるの、起きて反転術式を使って…。
「悟くんっ!!起きて!!」
ダメだ…スマホは……。
急いでリビングに行きテーブルの上にあるスマホを取って伊地知さんに電話をかける。
「伊地知さん!!助けて!悟くんが…!誰か、反転術式を使える人…いやでも、今の悟くんは…どうしよ…伊地知さん、助けて!」
「落ちて着いてください!どうしたんですか?何が……術式が戻ったんですか!?すぐに家入さんを連れて行きます!今の状況は!?」
混乱する頭で状況を伝えながら寝室に戻る。
どうしたらいいの?このままじゃ悟くんが…。
悟くんに触れないことを伝えるとまずい状況ですねと呟く。
「伊地知さん!硝子ちゃん以外に反転術式を他人に使える人はいますか…?」
「いますが…その方は今……。」
「その人も連れてきてください!!お願いします!」
伊地知さんが何かを言っているが私にはもう聞こえていなかった。
もし反転術式を悟くんに使えたとしても、術式を発動したままだと修復し続けなければいけない。
1人では無理だろう。
悟くんの下から布団を抜き掛ける。
浮かんでいるが裸のままよりはいいだろう。
お願い、早く来て…。
「悟くん、絶対死なせないから。」
息があることを確認して服を着た。