第7章 最強の術式
「奏音、泣くんなら一人で泣かないで。」
朝ご飯を作っていると起きてきた悟くんが後ろから顎を掴んで、自身の方に向かせる。
いきなりなんだ。
「泣いてたでしょ、夜。」
そういえば私、泣いてたっけ…。
「ご、ごめん!ちょっと、夜で不安定になってただけだから!そろそろなのかも〜あはは…。」
「そろそろ?……あー、生理?」
普通に言うのね…。
そろそろ生理が来てもおかしくない時期だ、なんとか誤魔化せたかも。
「僕の子、産む準備頑張って。」
軽くキスをされ、満面の笑顔で離れていく。
朝からドキドキさせないで欲しい。
ご飯をソファの方のローテーブルに持っていき、隣に座って食べ始める。
「奏音、今日の夜抱きたい…って言ったら、心の準備出来る?」
朝からなんてことを…。
首を振ればそっか…と悟くんもご飯を食べ始めた。
「……悟くんの術式って…反転術式がないと危ないものだよね?もし、反転術式が使えずに無下限呪術を発動したままだとどうなるの?」
「脳が焼けて…まあ、死ぬだろうね。」
知っていたが、ちゃんと確かめたかった。
怖い…もし私と悟くんが最後までしたらどうなるの…?
そんな未来が待っているのだとしたら、一生出来なくていい。
幸せそうにご飯を食べる悟くんを盗み見た。