第7章 最強の術式
木々が紅く色付く頃、悟くんの家での生活にも慣れ、午後のまったりした時間を過ごしていた。
悟くんはトレーニングルームにいる。
今まで家にほとんどいなかったから作っていなかったが、これからはずっといるからとそんな部屋を作ってしまったのだ。
作れる部屋があるのがすごい。
インターホンが鳴り出てみると伊地知さんだったので返事をして招き入れた。
「お邪魔します…五条さんは?」
「トレーニングルームにいますよ。」
「あ、では…少し私と2人で話しませんか?」
表情が固かったのでどうしたのだろうと思いながらソファに座らせ、お茶を出して私は床に座った。
五条さんが力を取り戻す方法ですが…と喉から振り絞るように声を出して話し始める。
「いろいろ調べてわかったのですが……御子神さんと五条さんが性行為を行えば戻るそうです。いや、まだ断定は出来ないのですがっ…もうしていますよね…?」
口を開けたまま固まってしまった。
まさか伊地知さんの口から性行為なんて言葉が…じゃなくて、私と悟くんが…もし本当なら悟くんが戻りたいと言うまで出来ない。
「してないですよ。なので、本当っぽいですね…。」
「そ、そうですか……それでそのことなのですが…もしいきなり戻って暴走でもしたら…あなたも五条さんもただでは済まないかもしれません。」
五条悟の術式…無下限呪術。
もし暴走でもしたら脳が焼き切れるだろう。
反転術式を瞬時に使えなかった場合……。
その時のことを考えると身体が震えた。
「わかりました…。」
少しの間、リビングに沈黙が流れる。
それを破ったのはトレーニングルームから出てきた悟くんだった。
「あれ?伊地知じゃん。だから僕に出てくるなって言わなかったんだね。」
「あっ…お疲れ様!トレーニングは終わったの?」
うんと返事をしながら頭を撫でてくる。
伊地知さんは悟くんに生徒の現状を話すと帰っていった。