第6章 引越し
ご飯でも作って気を紛らわせよう。
キッチンに立って準備をする。
もうアイスを食べ終わったのか、悟くんがゴミを捨てて近付いてくる。
隣に立って頭を撫でられたので何?と顔を見ると、シャッター音が聞こえた。
何かと思い悟くんの腕の先を見るとスマホで撮っていた。
「……なっ!消して!それやだ!」
撮った写真を見て、私の顔がやばすぎるので消してと懇願する。
なのに、やだと言って消してくれない。
「なんで?可愛いじゃん。」
まだ頬が赤いままで、顔を完全に悟くんの方に向けて見つめている。
私が悟くんに見惚れているような構図だ。
消してよぉと手を伸ばしてもスマホを掲げられて、少しも届くはずがなかった。
「もう!悟くん縮んで!」
「え〜さすがに縮めないよ。おっきくてごめんね?」
癪に障るような言い方をして…私だって一応平均身長なんだけど。
必死に背伸びをして手を伸ばしていると、悟くんが屈んでくれたのでスマホを奪い取ろうとしたが、唇が重なって取ることは叶わなかった。
「ふふ、隙あり過ぎだよ。他の奴にもされそうで怖いなぁ。」
「さ、悟くんの前でしか油断しないもん!」
「え、僕の前でも油断しちゃダメだよ?キスだってすぐしちゃうし、こうやっておっぱいも揉んじゃうよ?」
ふにっと胸を掴まれて慌てて離れた。
ご飯作るからとぷんぷんすれば笑いながら離れていく。
悟くんの手、大きすぎ…私の胸なんて簡単に包み込まれちゃう。
もっとおっきい方が好きなのかな…。
ちょっとしょんぼりしながらご飯を作り、テーブルに運んだ。
「いきなり元気なくなってどうしたの。」
なんでもない!と明るく返してご飯を食べる。
「そんなに消して欲しい?」
「え?あー違うよ。誰にも見せなければ別に消さなくていいよ。」
それでもまだ元気がない理由が気になるようで、ちゅーしたから?とかおっぱい触ったから?とか聞かれる。
全て首を振って答えた。
こんな恥ずかしいこと聞けるか!
大丈夫だからと笑顔を見せた。