第6章 引越し
スーパーで買い物をしてからアパートに帰ってきて冷房をつけ、ふぅ…と2人で息を吐く。
そしてすぐにアイスを袋から取り出して食べた。
さすがに暑かった…。
「悟くん、荷物持ってくれてありがとうね。暑かったでしょ。」
買った物等、全て悟くんが持ってくれていた。
「大丈夫だよ、このくらい。仕事の時より涼しい格好してるし。」
仕事の時、どんな格好してたんだ…。
離れていた時の悟くんを知りたい、でも知ることが出来ない。
伊地知さんに聞けばいいのだろうけど、たぶん硝子ちゃんとかに聞いた方が面白いこと聞けそう。
硝子ちゃんとは家入硝子のことで、悟くんの同級生。
悟くんと傑くんと硝子ちゃんがよく一緒にいたのを覚えてる。
その中でも傑くんがいつも悟くんといて、一緒に遊んでくれていた。
あの時突然、悟くんの隣にいなくなった傑くんのことをずっと聞けずにいる。
なんだか、聞いてはいけない気がするのだ。
そういえば、伊地知さんにはすでに報告した。
悟くんの家に引越すこと。
「アイスもっと食べたーい。今度パフェ食べに行こ?」
「そうだね、そういうのもそろそろ食べたくなってきたねぇ。」
あまり贅沢は出来ていなかったので、そろそろ外食でもしたい。
アイスを口に含んで悟くんの唇を奪った。
溶けきる前に悟くんの口に移して、少し舌を絡ませて離れる。
「へぇ…奏音、こういうことも出来るようになったんだ?」
「……悟くんのせいだよっ!」
「え、僕?あ、ちゅーいっぱいするから?奏音からもしたくなっちゃったの?」
恥ずかしくなって残っていたアイスを渡し、うぅ…と畳に額を擦り付けた。
「ぷっ、なにしてんの?おでこ赤くなっちゃうよ。」
悟くんからキス魔が移ったのかもしれない…。