第5章 縮む距離
愛液で濡れた指を舐めて、舐めてもいい?と聞いてくる。
もう舐めてるけど…。
首を傾げて荒く息をしながらボーッと見つめる。
「今指でしてたとこ、舐めてもいい?クリ舐められると、もっと気持ちーよ?」
「え、舐め……あ…1回だけ…。」
うんと返事をした彼は茂みに口元を埋めた。
「あっ!んぅ、やっぱやだ…あぁああやぁ……ひゃんっ…だめ、むりぃ…。」
指とは比べ物にならない程気持ちよすぎて逃げる腰を捕まえられると、ぢゅと吸って舌先で舐め続ける。
やっぱ悟くんの舌やばい…。
声なんてもう抑えようもない。
どんなに否定をする言葉を並べても、刺激的すぎる愛撫は止まらなかった。
ぬるぬると蠢く熱くて柔らかい舌がどうしようもなく私を攻め立てる。
「っ、んっ…あ、ぐっ……さ、とるくっ…や、あぁアッ…!!」
腰を震わせながらボーッと荒く息をしていると、口元を手の甲で拭いながら顔を上げた悟くんの表情に息が止まりそうになった。
流し目のように官能的に伏せられた瞼から伸びる白くて長い睫毛、白い肌にほんのり色付く頬、白髪の前髪から覗く額には朝日で煌めく汗。
私、今…この人になにされてた…?
手で口元は見えないのに、どうしてこんなにも魅力的なのだろう。
「ふふ、なんでそんな見つめてるの?グッドルッキングガイの悟くんに惚れ惚れしちゃった?」
「うん…。」
私の視線に気付いた悟くんが伏せた瞼を上げて睫毛を揺らす。
否定することも出来ない程魅せられて、手が離れて見えた口元はまだ少し濡れたまま弧を描き、うっとりする程美しく目を奪われる。
こんな悟くんは絶対に誰にも見せたくないと独占欲が顔を出した。
奉仕をした時よりも生き生きとしていて、私の身体に触れられたことが嬉しいのだと伝わってくる。
こんなの、癖んなる…こんなにも美しい人に触りたいと思われていることが、こんなにも幸せなんて…。
「どしたの、素直だね。すっごい可愛い。僕もあんなに乱れる君が綺麗で、もっと見てたいよ。クンニだとちゃんと見れない…。」
股から移動して頭を撫でた彼は、汗かいたねと言いながら浴室に連れていく。