第4章 力の代価
「あ、伊地知さん、ご飯食べて行きませんか?お礼ということで…。」
実家まで送迎をしてもらい、買い物まで付き合ってもらったのだ、何かお返しをしなければ気が済まない。
どうやら私が相当必死だったようで、伊地知さんは頷いてくれた。
ご飯を作ってテーブルに運ぶ。
「とあることってなんなんでしょうね…。」
「本当…なんなんでしょうね…正直私は力が戻って欲しくないんですよね。」
肩を叩かれて振り向くと口を開けている悟くんがいて、箸で持っていたおかずをその口に入れてあげる。
「美味しい……力、欲しい。」
悟くんは戻りたいのか、あの死と隣り合わせの世界に。
仕方ない、それは追々考えよう。
とあることがわからないわけだし。
それよりも今は…私が悟くんに溺愛されるっていう方が問題だ。
溺愛ってことは、性の対象にもなるってことだよね…?
さすがにそれは心の準備が出来ない。
ボーッと悟くんを見つめていると、頬をつつかれた。
ん?と首を傾げて笑うと口元を指で拭われ、その指は彼の口の中に入る。
ご飯粒でもついていたのだろうか…恥ずかしい。
ご飯を食べ終わり、伊地知さんが帰り際に私も調べてみると言ってくれた。
正直これに関しては伊地知さん頼りだ。
祖母が教えてくれない以上、私には為す術がない。
調べようにも、私じゃ何をどう調べたらいいのかわからないのだ。
代々口頭でしか受け継がれておらず、書物等は残っていない。
そもそもその術を使った者がいないと聞くし、その力を受け継いだ者しか術があることを知らない。
だから何故、悟くんが知っているのか意味がわからなかった。
「ねぇ悟くん、もし力を取り戻せるとしたら、どんなことでもしたい?」
「…奏音が、いいなら。」
私の意志を尊重してくれるの?