第3章 看病の日々の中
「どこか行きたいとこある?」
私を見つめていた悟くんの目線は別のところに移り、じっと眺めている。
その視線の先を辿ると……如何わしいホテルっ…!!
え、違うよね?と思いもう一度確認するが、どうやら間違ってはいないらしい。
「さ、悟くん…あそこに行って何するの…?」
「奏音……行こ。」
ありがとうの次は行こ…違うシチュエーションで聞きたかったな…。
手を引かれて真っ直ぐホテルの方に向かっていく。
「ストップストップ!!ちょ……あ、ベッドで寝たいの?」
悟くんサイズの布団が無くて、いつも縮こまって眠らせてしまっている。
頷いた彼にどうしようかなと首を捻る。
結局考える間もなく連れて来られてしまった。
すでに部屋にまで入ってしまっている。
真っ直ぐ浴室に連れて来られて着ていたカーディガンとシャツを脱がせられてしまった。
お風呂ってことは…ただ寝るだけじゃない!?
必死で下着姿の胸を隠しながら後退る。
「だ、ダメだよっ…!寝るだけでしょ?」
胸を隠していた腕を引かれて唇が重なった。
これは違うと言っているのだろうか…。
いつも思うのだが、本当に私としたいなら触れるだけのキスで終わらないはず…。
唇が離れると寂しげな顔をして抱き締められる。
そしてブラのホックを外された。
「待って!ダメだってば!なんでこんなことするの…?」
見上げると首を振っていてよく意味がわからなかった。
「っ…し、しない…。」
また喋った…!
しないって、その…アレのことだろうか…。
「お風呂に一緒に入りたいだけ?」
笑って頷く彼を見てどうしようか悩む。
さすがに恥ずかしいのだが…。
いつも一緒だとは言え、私は服を着て悟くんの身体を洗っているだけ。
「あ、あまり見ないでもらえれば…。」
頬に触れて引き寄せられるとまたキスをされる。
キスで返事するのやめてもらえないかな…心臓壊れる。