第3章 看病の日々の中
結局眠れずに朝を迎え、いつの間にか弱まっていた腕のから抜け出す。
服を着て歯を磨いたり顔を洗ったりと、朝のルーティンをこなして、ご飯の準備を始めた。
悟くん、外出たいかな…目が覚めてから彼は一度も外に出ていない為、行きたいところとかないのだろうかと考える。
「悟くん、起きて。ご飯出来たよ……さーとーるーくーん!」
肩に触れて声をかけても起きないので、身体を揺らして無理やり起こした。
可哀想だとも思ったが、運動が出来ていない分、睡眠は適切に取らせたい。
パチリと開いた目はすぐに閉じてまた寝息をたて始める。
昔は昼寝をしていても、少し私が動いただけで起きていたのに…。
「せっかく作ったのにいらないんだ……。」
「……奏音。」
開いた目は優しく弧を描き微笑みながら、私の頬に触れる。
起き上がって軽く唇を触れさせ、洗面所に消えていった。
今のはなんだったの…唇を手の甲で押さえ、早くなった鼓動を必死に治めようとした。
悟くんが戻ってくる前に布団を片付けご飯を用意する。
戻ってきた悟くんは食卓について口を開けた。
「悟くんもう一人で食べれるよね。歯磨きだって一人でしてるし…。」
頬を膨らませて睨まれた。
随分と表情が豊かになったようで。
結局悟くんに甘い私はおかずを口に運んだ。
ふふんと鼻歌を奏でる悟くんを見て、美味しいんだろうなと思った。