第10章 父との約束、母の温もり
私の叫びは、虚しく夜の闇に吸い込まれていく。母の体は、音もなく床に倒れ伏し、その瞳からは、生気が失われていく。鬼殺隊士として、多くの鬼を倒してきた。しかし、目の前で、両親を、守れなかったという現実が、私の心を激しく揺さぶった。
「お父様!!お母様!!」
「…知令…約束だ…生きろ…」
父の最後の言葉が、私の耳に響く。父の血に染まった床に、私はただ呆然と立ち尽くしていた。鬼殺隊士として、私は無力だった。両親を救えなかった。その事実が、私の理性を吹き飛ばした。
「…殺してやる…殺してやる…殺してやる…!」
こいつらだけは許さない。
私は、日輪刀を強く握りしめ、鬼に襲いかかろうとした。私の体は、恐怖と絶望で、まともに動かない。でも、私の内側から湧き上がる憎悪が、私の体を突き動かした。
狂ったように、私は日輪刀を振り回した。