第9章 透き通るは昔の記憶
蝶屋敷での任務を終え、私は一人、宿谷街へと向かっていた。
鎹鴉から伝えられた任務内容は、複数の鬼が街を襲っているというものだった。私は、足早に目的地を目指した。
宿谷街に到着すると、そこはすでに戦場と化していた。鬼殺隊の隊士たちが、次々と現れる鬼と激戦を繰り広げている。私は、すぐに日輪刀を抜き、鬼に立ち向かった。
「すぅ…!愛の呼吸…壱ノ型…鴻雁愛力!」
私は、鬼の動きを緻密に計算し、鬼の急所を的確に攻撃していく。
しかし、鬼の数が多く、次第に追い詰められていった。
「くっ…!」
私の腹部に、鬼の爪が深々と食い込む。
私は、痛みで意識が遠のきそうになったが、ここで倒れるわけにはいかない。
よろけながらも立ち上がり刀を握り直す。
「愛の呼吸…参ノ型!兼愛無私!」
相手の攻撃を冷静に見極め、最小限の動きで回避し、反撃に転じる技だったが、鬼の攻撃が読み切れない。
「まずい、攻撃が」
「…霞の呼吸…壱ノ型…垂天遠霞…」
その時、一筋の閃光が、私の目の前を通り過ぎる。
私は攻撃を受けず、地面に足をついた。
そこにいたのは、時透無一郎くんだった。