• テキストサイズ

【鬼滅の刃】屋烏の愛

第9章 透き通るは昔の記憶


鬼を討伐し、洞窟から出た私たちは、ゆっくりと屋敷へと向かった。
その道中、時透さんは、私のことを見つめながら静かに言った。

「…君、すごいね。僕の言葉を信じてくれたんだ。」

彼の言葉に、私は少し頬を赤らめた。

「…はい。勿論、柱だから信用したというのもあるけど…時透さんのお言葉、私にはとても大切なものに思えました。」

それを聞いた時透さんは、少しだけ、本当に少しだけ、微笑んだ。

「…そっか。よかった。僕、君のこと、忘れちゃいそうで怖かったんだ」

彼の言葉に、私は驚きを隠せなかった。
彼は、自分の記憶が曖昧なことを、自覚していた。

「…忘れないでくださいね。私は弱いけど、あなたのこと、ちゃんと覚えていますから。」
「…うん。」

時透無一郎という、掴みどころのない少年は、心の奥に隠された、もう一つの顔があるのではないか。そして、彼の心を覆う深い霞を、私の愛の呼吸で晴らすことが、もしかするとできるのではと思った。
/ 179ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp