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【鬼滅の刃】屋烏の愛

第8章 蛇の恋色、愛の色


鬼の討伐後、私たちは夜明けを待って、山を下りることにした。蜜璃さんは、私のことを褒めてくれた。

「知令ちゃん、すごかったわ!知令ちゃんのおかげで勝てたわ!」

彼女の言葉に、私は照れながらも、「…ありがとうございます」と感謝を述べた。しかし、伊黒さんは何も言わなかった。ただ、その鋭い視線は、私から離れることはなかった。

「伊黒さん、知令ちゃんを褒めてあげてよ〜!」

蜜璃さんが、伊黒さんの腕を揺らす。

「…下賤な者が、たまたま役に立っただけのこと。褒める必要などない」

彼の言葉に、私の胸は再びちくりと痛んだ。私は、やはり彼に認められることはないのだろうか。

「…伊黒さん。お言葉ですが、私は、下賤な者ではございません。」

私が、いつもの気弱な自分からは想像できないほど、はっきりとそう告げると、伊黒さんが驚いたように私を見た。

「…どういう意味だ」
「…私は、鬼殺隊に入るまで、令嬢として生きてきました。令嬢として、そして鬼殺隊の一員として、私は私なりに、大切なものを守るために、精一杯生きてます。」

私は、震える声で、しかし、伊黒さんの目を見て言った。

「私は、蜜璃さんを、そして大切なものを守るために、力になれるよう、これからも精進いたします。…私の愛の呼吸は、下賤な愛ではありません。」

私の言葉に、伊黒さんは何も言わなかった。

ただ、その鋭い視線の中に、一瞬だけ、微かな動揺のようなものが見えたような気がした。

この日、私は、伊黒小芭内という男の、冷たい厳しさの奥に、蜜璃さんへの深い愛があることを知った。そして、いつか、この厳しい蛇の心にも、私の愛が届くことを願った。
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