第7章 音の豪奢、頭脳の静寂
任務を終え、私たちは静かに町を後にした。夜明けが近づき、東の空が淡い藤色に染まり始める。宇髄さんは、私の隣を堂々と歩いている。その大きな背中からは、先程の戦いの轟音とは異なる、穏やかな気配が漂っていた。
「お前さん、本当に面白いな。」
突然の宇髄さんの言葉に、私は足を止め、彼を見上げた。
「…そんなに面白いですか?」
「あぁ。いや、地味な性格のくせに、俺様のことを見抜いちまったのがな。お前さんの頭、相当なもんだ。…お館様から聞いてはいたが、元々お前、お嬢なんだろ?」
彼はそう言って、少し悪戯っぽい目で私を見つめた。
「…はい。一応。」
私は、少し恥ずかしそうに答えた。
「でも、俺様から見れば、お嬢も鬼殺隊も、どっちも派手でいいじゃねえか。お嬢が鬼を斬るなんて、とびっきり華やかだ。」
宇髄さんの言葉は、いつも私の予想を遥かに超えてくる。
お嬢様として護られて生きてきた私にとって、鬼殺隊に入ることは、決して褒められることではなかった。
しかし、彼の言葉は、私の選択を肯定してくれるようだった。
「…ありがとうございます。」
私は、素直な気持ちで礼を言った。
「おう、どういたしまして。…ところで、お前さんの愛の呼吸…」
宇髄さんは、何かを考えるように腕を組み、私をじっと見つめた。