第7章 音の豪奢、頭脳の静寂
「お前さんの剣技、派手さはねぇが、動きが滑らかで、まるで舞を舞っているようだった。…お前さんの愛は、どんな愛なんだ?」
彼の問いかけに、私は言葉に詰まった。
お嬢様として生きてきた私は、「愛」というものを、家族への愛情や、忠誠心としてしか知らなかった。
「…私には、まだよく分かりません。でも、大切な人や、守るべきものへの強い気持ちが私を動かしています。」
そう言うのが精一杯だった。
宇髄さんは、私の言葉に、フッと微笑んだ。
「そうか。なら、いつか教えてくれよ。お前さんの愛が、どんな愛なのかを」
彼の言葉は、まるで夜明けの光のように、私の心に温かい光を灯した。
この日、私は宇髄天元という男の、派手さの裏に隠された、もう一つの顔を見た。
それは、他人の心を慮り、優しく見守る、穏やかな顔だった。
「…ところで、お前さん。俺様のことをもっと詳しく知りたいか?」
宇髄さんは、再びいつもの調子に戻り、ニヤリと笑った。
「俺様には、三人の嫁がいるんだ。みんな、とびっきりの美人だぜ。
今度、うちに来てみるか? 俺様の嫁たちと、派手な話でもしようじゃねえか。」
彼の突然の誘いに、私の心臓が大きく跳ねた。
「…え?あの、それは…」
私は、顔が真っ赤になり戸惑いながらも、彼の言葉を否定することはできなかった。
「冗談か本気かはお前さんの想像次第だ。また、任務で一緒になったら、ド派手にやろうぜ。またな。」
彼の背中を見送る私。
彼の心の傷に触れられるのはまだ先だろう。しかし、厄介な事に自分とは真反対の男性に心が揺らいでしまったようだ。