第7章 音の豪奢、頭脳の静寂
夜明け前の静かな空気の中、私たちは二人きりになっていた。
宇髄さんは、私の日輪刀を興味深そうに眺めていた。
「お前さんのその日輪刀、随分と派手な色だな」
「…はい。私の日輪刀は、とても深みがある赤色だと思います。」
私は、彼の言葉に少し戸惑いながらも、答えた。
「それに、お前さんの剣技も面白い。なんだ?愛の呼吸、とか言ってたか?」
「はい。恋の呼吸の派生である、愛の呼吸の使い手で…」
「ふーん。恋の呼吸の派生か。なるほどな」
彼は、何かを納得したように頷いた。
「…ところで、宇髄様。先ほどの戦闘ですが、貴方の攻撃は、わざと音を立てていたのでしょうか?」
私は、冷静に彼に問いかけた。
「音を立てることで、鬼の注意を引きつけ、私の攻撃の死角を作ってくれた…貴方は、私よりも頭がいいですねッ!」
私の言葉に、宇髄さんは再び目を丸くした。
「…お前、俺様のことをそこまで分析してたのか?」
「はい。分析は、私の力になるので。」
私は、素直に答えた。
宇髄さんは、私の言葉に盛大に笑い出した。
「はっはっは!面白い!面白い女だ、お前は!」
彼は、私の頭をガシガシと撫でた。
「ふえぇっ?!」
「俺様のことをそこまで見てくれるなんて、お前、俺様に惚れちまったか?」
彼の言葉に、私は顔を赤くした。
「ち、違います…!」
私は、慌てて否定したが、彼の大きな手は、私の頭を優しく撫で続けた。その手は、先ほどよりもずっと、温かく感じられた。
この夜、私は宇髄天元という男の、派手さの裏に隠された優しさを知った。