第5章 友情の輪の中で
炭治郎たちとの交流を深める日々の中で、私は蝶屋敷の庭で、一人の少年と出会った。
「…不死川さん…の弟さん?」
彼は、不死川さんの弟、不死川玄弥だった。彼は、兄に似て、どこか不器用で、しかし、心の奥底には、兄への深い愛情と、守りたいという強い意志を秘めているようだった。
「…お前…俺の兄貴と、一緒に任務に行ったって…本当か…?」
彼の言葉は、無愛想な感じだった。しかしその瞳は、兄のことが心配でたまらない、弟の顔をしていた。
「はい。不死川さんは…優しい方ですね。」
私の言葉に、彼は何も答えなかった。ただ、静かに、私の顔を見ていた。そして、やがて口元に穏やかな笑みを浮かべた。
「…ありがとう…」
彼の言葉は、とても小さかったが、私にははっきりと聞こえた。
私にはこのありがとうの意味がわからなかった。けれども感謝されるのは悪い気持ちには決してならない。にっこりとはにかんだ。
そして、私は、蝶屋敷の庭で、栗花落カナヲと出会った。彼女は、蝶のように静かで、しかし、その瞳の奥には、何か深い悲しみが隠されているようだった。
「…カナヲさん…」
私が声をかけると、彼女は何も言わずに、ただ静かに微笑んだ。彼女は、言葉を話すことができない。しかし、その笑顔は、私に、彼女の心の奥底にある優しさを伝えてくれた。
「…もし、あなたが辛いことがあったら、いつでも話してください。私は、いつでもあなたの味方です…」
私の言葉に、彼女は何も答えなかった。ただ、静かに、私の手を取った。その手は、そっと触れるだけで、心が凪いでいくようだった。