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【鬼滅の刃】屋烏の愛

第3章 水面に浮かぶ静かな村


その瞬間、静かな水の音が聞こえた。

「水の呼吸 弐ノ型 改 横水車」

冨岡さんが、鬼と私の間に割り込むように現れ、水の呼吸を放った。水の輪が鬼の腕を切り裂き、鬼は苦痛に顔を歪めた。

「…冨岡さん!」
「…関わるな、と言ったはずだ。」

冨岡さんは、私を振り返ることもなく、静かにそう言った。しかし、彼の瞳は、私に向かって「下がれ」と語っているようだった。

私は、彼の言葉に従い、鬼から距離を取った。立ち上がるのも正直しんどいが、弱音を吐いてる場合ではなかった。距離を取ったらすぐに鬼の動きを分析する。

「鬼は、左の腕をかばっている…冨岡さんの攻撃で、左腕が傷ついているんだわ…!でも、なぜ私の攻撃は…?」

私は、鬼の弱点を見つけ、その情報を冨岡さんに伝えようと叫んだ。

「冨岡さん!鬼は、左腕が弱点です!左腕に意識が向いています!」

私の言葉に、冨岡さんは静かに頷いた。彼は、私の言葉を信じてくれた。

「水の呼吸 参ノ型 流流舞い」

冨岡さんは、水の呼吸で鬼の周りを舞うように動き、鬼の左腕に斬撃を浴びせた。鬼は、左腕を庇おうと、動きが鈍くなる。

「今です!」

私の声に、冨岡さんは最後の技を放った。

「水の呼吸 拾ノ型 生生流転」

水の龍が、鬼の首を狙い、駆け上がっていく。水の龍が鬼の首を斬り落とすと、鬼は、静かに消滅していった。

「…見事です、冨岡さん…!」

私は、冨岡さんの元へと向かった。
「お前のおかげだ。左腕が弱点だと分かったから、鬼を倒すことができた。」

冨岡さんは、そう言って、私に視線を向けた。彼の瞳は、もう冷たくはなかった。そこには、ほんの少しだけ、私を認めてくれたような、優しい光が灯っているようだった。
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