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短編 創作

第2章 夢魔と少女の話【R18】



先輩は一気に顔を赤くして困惑した声で私の名前を呼んだ。これ以上こんな姿を見られたくない。迷惑も掛けたくなかった。私は乱れる呼吸を抑えて、机を支えにして先輩の足の上から立ち上がった。

「せんぱい、大丈夫だから…部活、いってください」
「いや!行けるかよ、こんな放って」
「たぶん貧血だから…落ち着いたら、わたしも、帰るので」

貧血なんて絶対違うけれど今は一人になりたかった。時折漏れる吐息に目が潤む。私はどうしてしまったのだろう。今までこんなこと一度も無かったのに。
先輩は納得いかないような様子だったけれど、わかったと頷いて着ているユニフォームを脱いだ。

「気休めにしかならないだろうけど、掛けとけ」
「でも、」
「予備がロッカーにあるから大丈夫。後で電話するからな。無理だったら助け呼ぶんだぞ」
「ありがとうございます」

先輩は最後までこちらを気にしながら教室を去っていった。静けさを取り戻した教室。私の呼吸だけが響いている。滲む汗が気持ち悪い。下着までじっとりと湿っていた。

「はぁっ…も、やだ…ぁ…んっ」

少しでも動けば声が漏れる。少しずつ膨らむもどかしさに気づかないふりを押し通してきつく拳を握った。
転がったココアを拾って額に当てると冷たさが心地よい。先輩どう思ったかな。変な子だと思われただろうなぁ。
ぼうっと考えていると瞼が重くなり、次第に眠りに落ちていった。

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