第2章 夢魔と少女の話【R18】
目覚めると辺りは橙に染まっていて、おかしな感覚もおさまっていた。一時間近く眠っていたようだ。
私は急いで皺だらけになってしまったユニフォームを畳んで、ココアも一緒に鞄にしまった。それからすぐに教室を飛び出して早歩きで学校を後にした。
その夜、私はなかなか寝付けず、イヤホンをつけて好きな音楽を聴きながら雑誌を捲った。幸い明日は休日だ。多少夜更かししても問題ないだろう。
夢のことも、教室でのことも思い出したくなくて誤魔化すように音量を上げた。
しかし、そうしていてもいずれ睡魔はやってくる。かろうじて雑誌を閉じてから、まどろみに揺蕩う。気づけば充電が切れて音楽の再生は止まっていた。そんなことにも気づかないほど、もう意識は薄れている。
でも、眠ったらまた夢を見るかもしれない──。
不安は泡のようにぷつんと消え、私はとうとう意識を手放した。