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薬師助手の秘密【R18】

第1章 後宮下女




「さて、どうするかな…」


姐さんが踵を返して歩き始めたので、それにぴったりくっついて一緒に歩く。


「一気に根元を叩くなら…双方に同時に手紙でも置いちゃう?お届けなら私がこーーーーーっそり…やっちゃうよ?なんなら得意だよ?」
「…頼もしいな。」


姐さんはフッと笑うと書けるものはないかとブツブツ呟きだす。
思考の海に入ったときには邪魔せずそっとしておく。
良い案が思い付くかもしれない…と、 も一緒に思考の海に飛び込んだ。

下女の生活に、紙はない。もちろん筆も紙も。識字率が低いからだ。
だが、上級妃の侍女には教養がある…はず。
なんでも良い…形よりも何よりも…時間だ。
早ければ早いほど良い。

特に今回の場合は…



廊下で、やけにデカい野郎二人とすれ違う際に、前を歩く野郎…宦官の腰帯がひらめくのが視界に入った


あ……


そっと自分の服を見下ろす。



いける…!!




一つ閃けば、あとはこっちのもの。


「姐さんっ…」
「… ?」



この時、姐さんの役に立ちたいという気持ちが先行しており、すれ違った野郎のことになど意識を向けなかった。

それが後々めんどくさいことになるとは知らずに……











その夜、人々が寝静まった後宮の外れの森で小さく風を切る音が響いた。


ヒュッ…ヒュヒュッ……ピュッ…


お使いが終わって、自分の部屋には帰らず。ほとんど人が通ることの無い
助けるつもりとはいえ、かなり位の高い妃を相手にするのだ。何があってもおかしくない。最悪不都合は一番下のものに全て押し付けられてしまう。

今回関わることで一番下位に当たるのは姐さんと…私。


何かあったときに姐さんは守れるようにしとかないと…



重心移動を利用して素早く横凪ぎの一線…から勢いを殺さずそのまま回転して眼前に構え、前に簪を突き出した。

貫かれたのは、たまたま落ちてきた木の葉。


「ちょっと…鈍ったかな…」


葉の中心からわずかに外れて貫いた簪…半年もサボっていたのだ…
感覚を取り戻すため、東雲の空になるまでひたすら簪を振り続けた。





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