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薬師助手の秘密【R18】

第4章 夢遊 ※高



そして、ふと思い当たった恐ろしい予想が脳裏を過り、嫌な予感にヒヤリと背筋を氷塊が滑り落ちた直後、ふわりと小さな体が宙を舞った。

グングンと距離が縮んで来るので、ほとんど無意識で両手を広げていた。落ちてくる さんがしっかりと認識できる距離になって、違和感を抱いた。何に違和感を覚えたのか考えるまもなく落ちてきた体を抱き止め、衝撃を緩和するためにそのまま軽く屈んで後方に力を逃がした。





「何考えてるんですか貴女はっ!」
「…え?」
「え?じゃありません!!危ないでしょう!!怪我したらどうするんですか!!」


明らかに状況読み込めてません。と言うような顔で首まで傾げている。

……そうだった…そうでした貴女、媚薬を口にしてましたね、酔っぱらいですか!!

怒るのも無駄であることに思い至りつい大きなため息を吐いてしまう。
怒っていると思ったのか、突然モソモソと動き始めて降りようとしたので体を起こしてあげたが、思いの外近距離で向い合わせで座ることになってしまった。
明らかに動揺して視線が落ち着かなくなっている。
怖がらせてはいけないと思いはするが、大人げなく先日困らされた分の仕返しをしたい気持ちもわいてきてしまった。
体を支えていた腕をあえて外さずにじっと さんを見ていると、困りきった顔で見上げてきた。
今さらだが、いつもと印象が違うことに気付く。目尻と唇に紅色が乗っている。
あまり印象の無い目だと認識していたが、大きくつぶらな瞳の端にほんのりと紅色が色づき、普段は欠片も感じない色香を出しているせいか、自然と視線をそこに引き付けるようだ。
よく観察しても紅色以外の加工はしてないようだし……


……紅ひとつで狐から狸に化けれるものなのか……



「っ……月餅…食べたぃ…」
「………は?」





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