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薬師助手の秘密【R18】

第4章 夢遊 ※高




トサッ…



意識がなくなり、弛緩した体が胸元に収まっている。
軽く揺すって見たがピクリとも動かない。

ようやく口を開いたかと思ったら、月餅。
壬氏様に言われて、あれから差し入れを控えていたが……もしかして待っていたのだろうか。
さんは私の胸を枕にして、完全に寝てしまったらしい。
頭を撫でてみると、驚くほど艶やかな髪がサラサラと指の間を抜けていく。髪の艶も以前夜に見たときよりも艶めいて見える。媚薬に髪への速効性はないはず。
頬を撫でてみると化粧独特の粉っぽさはなく、吸い付くような瑞々しい肌の感触だった。


…ほとんど化粧をしていない………?


確かめるためにもう一度頬に指を滑らせてみるも、やはり肌のツルッとした肌の感触しかない。


「何してるんだ、高順。」
「…………あ。」



声がした方を見たら、半目の壬氏様となんとも言えない顔した小猫がすぐ後ろに立っていた。


絶対に勘違いされている。



端から見たら、意識の無い若い女性の顔を無遠慮に撫で回す変態なオッサンの図である。
誤解を解こうと口を開いたが、視界の端に喋るなと言わんばかりの渋い顔をした小猫に気付いてしまった。

結婚して20年。表情で女性の言いたいことを察するスキルを愛妻にしっかりと仕込まれた体は何も言えなくなってしまった。

結局、弁明出来ぬまま、あの日のように意識の無い さんを横抱きにして部屋まで歩くことになったが、その間ずっと壬氏様から発せられるチクチクと絶妙に痛い視線に耐えるしかなかった。


最近いきなりそういう役回りが多い気がするのは…気のせい…ではないはずだ。



恨みますよ…… さん…………






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