第4章 夢遊 ※高
ゲッ!!腹黒似非天女!!なんでこんなところにいるのさ!!今、夜更けだっつーの!夜は寝るためにあるものでしょ!!さっさとお家に戻ってオネンネしてなさいよ!!
踊りきって振り返ると、姐さんの後ろに腹黒似非天女と高順さんがいた。下に降りたいが、降りるところを見られるのは…得策じゃない気がする。
月を振り仰ぎ暫く考え…
犠牲になって貰うことにした。
「これを有効活用することになるとは…流石姐さん…」
城壁に腰を下ろし、懐から徐に包みを取り出すと、シルエットでも何か食べたことが分かる角度に体の向きを調整して、ゆっくりそれを口に含むと、体温で溶けかかっていたので直ぐに口の中に甘さと酒精が広った。
安全のため、その場に座り込み効いてくるまで月を見上げておく。
こんなに綺麗に月が見えるなら…黒服こしらえてこっそり月見するのはアリかなぁ?
よし、まわってきた…そろそろ……
チョイチョイ…姐さんが居る方を向いて手招きをする。
姐さんなら分かるはず。こっち来ーいこっち来ーい…
動こうとした腹黒似非天女を姐さんが止めて、高順さんが近付いてきた。
流石姐さん。正解!まだまだ来ーい、もっと来ーい…と、高順さんを見ながら手招きし続け、ほぼ城壁に付近に来たことを確認してから、思い切り城壁を蹴った。
みるみる近づいてくる顔が驚愕に染まっており、無意識だろうが受け止めるつもりで両手を広げている。
本当に受け止めて貰うつもりは無いので此方からは全く手を伸ばさずに一直線に地面を目指した。
ドサッ……
「何考えてるんですか貴女はっ!」
「…え?」
「え?じゃありません!!危ないでしょう!!怪我したらどうするんですか!!」
いつの間にか高順さんの腕に腰をしっかりと抱かれており、地面に転がる彼の上に乗っかっている状態…のようだ。
ん?……乗っている………?