第4章 夢遊 ※高
まともな男は皇帝だけ...という設定になっているので、少々恋愛観が歪んでしまっても仕方がないものもあるだろう。
「お二人にお願いがあるのですが...」
唐突に口を開いた高順に猫猫と の視線が集まる。
「壬氏様を毛虫でも見るような目で見るのは止めて頂けませんか?」
姐さんは少々苦虫を噛み潰したような顔になっている。確かに姐さんはそういう目で見ている。今日の粘着質な奴を、180cm超えの巨大蛞蝓を見るような目で見ていた。
でも、私は一貫して変態を見るような目で見ている。毛虫とは違う。
「今日も帰るなり、蛞蝓を見るような目をされた、と報告され...」
や...ほんとねっとりベタベタ蛞蝓のような所業だったんですよ。仕方ないじゃん.しかもいちいち報告している辺りが粘着質...そして寸分違わず視線の種類を察知してるのも気持ち悪い。
「身を震わせながら、潤んだ瞳で微笑んでいました。悦というのはあれを言うんですね。」
「……変態?」
ついうっかり口に出した単語に、高順さんが視線でこちらを見る。
や、だって明らかに良くない視線に身を震わせるほどの悦…ガチじゃんか…マジもんだよ。
この人ホントに主人敬ってる?メッチャ変態情報暴露してんじゃん!!
「……以後、気を付けます」
姐さんも腕を擦ってるから、きっと同じこと考えてる。
「ええ。免疫の無い者は、一目見るなり昏倒しかねないので、処理が大変なのです。」
「え!?事後処理の話?その前にあの腹黒似非天女を矯正するのが高順さんの仕事……あっ!!」
「…本人が居なくて良かったな、 」
「全くです。」
驚きのあまり、心の中で呼んでいた名称が威勢よく飛び出してしまった。全部高順さんの衝撃発言のせいである。
まぁ、高順さんの深いため息を見るに、この人も相当苦労をしているんだろう。
大変疲れる話をしているうちに、東の城門に着いた。
例の城壁が見える東屋に座って待機することになった。
思っていたよりも高順さんと普通に接することが出来て少し安堵する。あまり深掘りして欲しくないから。
まあ、お互い触れない方が安全であることには間違いない。
相手が何も言わないことを良いことにスルーさせて頂くことにした。