第1章 後宮下女
ふと、姐さんの少し後ろに小柄な唖然としてこちらを見ていることに気付いた。
「…姐さん、この子は?」
「あぁ、この子は小蘭。一緒に仕事してる。」
「…こんにちは。」
姐さんに聞いて、ニッコリ笑って小蘭に挨拶をする。
その笑顔の奥でじっくりと観察する。
瞳の揺らぎ、表情、服の下に隠れている身体がどうか…姐を害するものではないか…
…ん。よし。
「小蘭。この子は 。義理の妹なんだ。」
「猫猫の妹…?」
「そうなの。よろしくね小蘭…さん」
「小蘭で良いよ。 さん。」
「私も って呼んで。」
自分よりも幼く見える小蘭につける敬称に困ったが、人懐こい性格なのだろう。直ぐに名呼びを許可されたので、すかさず私も呼び捨てを願った。
敬称をつけられるようなキャラじゃない。全身が痒くなる。
だが、それよりも……
ずっと会いたいと思っていた姐さんに会えたことが嬉しくて…
そっと姐さんの腕に手を回して引っ付いた。
フッと小さく笑う気配がして、小さいけど温かい手が頭に乗っけられた。
懐かしい感覚に、ちょっと涙が滲んでしまった。
その後、小蘭とも色々話して少し仲良くなることが出来た。
姐さんが小蘭と仕事内容を交代する話をしているところに私も便乗することにした。表向きは噂のキラキラしい宦官を見てみたい…
でも、本当の目的は…姐さんも、きっと一緒。
乳幼児の連続死の真相が知りたい……
姐さんも私も、呪いなんて非現実的なものを信じるほど夢見勝ちなことを考えるタイプではない。
裏に必ず何かがある。
「それにしても、数多の女官や下女を骨抜きにするキラキラ宦官…って一体どんな人なんだろうね、姐さん」
「さあ。女官を辞めた後に宦官の妻になるという話も聞いたことあるし…」
「アレがないってことは結構女性寄りな美しさってことになるんだよね?やっぱ、色恋の少ない後宮だからかな~」
「 もそのうちそうなるかもよ?」
「やだ、あり得ない。私、野郎大嫌いだもん。」
「…知ってる。言ってみただけ」
「…もう!」
今年で15歳となる は既に男嫌いを発症している。
しかもかなりの重度の。
今では普通に接することが出来るが、あの優しい養父にもずっと近づくことが出来なかったくらいに。