第4章 夢遊 ※高
あれは、完全に姐さんの趣味によるものだけど、そのまま勘違いさせておくのが良いと判断してるので、あえてそこの認識は正していない。
大いに勘違いして姐さんに優しくしていただきたい所存だ。
「薬が欲しくなる冬には薬草があまり生えてこないので、今の時期にたくさん薬草を摘んで乾燥させておくことで、冬に感冒薬を処方できるようになるんです。」
「そうなのね。」
の補足説明に。侍女は納得したように頷いた。
ナマズ先生のところで作ったのは散剤だが、今仕分けている薬草は水薬...煎じて飲むタイプの風邪薬の調合だ。あまり美味しい薬ではないが、感冒初期によく効くものだ。最後にナマズ先生のところで薬草以外を追加で調合をしたら完成となる。
最近、私の部屋を見た姐さんが真似をして大量の薬草を乾燥させ始めたので、ストックできる薬草の種類も量も倍になった。
姐さんが大変嬉しそうなので、私も嬉しい。
が、寝食を忘れて薬草に夢中になりそうだから出来上がった薬草の提供に留めようと思ったんだけどなぁー…
「あ、あかぎれ…綺麗に治りましたね。良かったですね。」
姐さんの手元を見ている侍女の指先を見て、声をかけた。
ついこの前、水仕事であかぎれを起こしているのを発見して姐さんに相談したのだ。喜んで姐さんは薬を作ってくれた。
「猫猫の薬のおかげよ。ありがとう!」
「いえ。」
そうそう!もーーっと姐さんの薬の素晴らしさを讃えて頂戴!!
調合した姐さんよりも誇らしげにウンウン頷いていたら、何か言いたげな視線が姐さんから飛んできた。お薬喜んで貰えて良かったね!!という意味を込めてウインクしたらなんか呆れたような顔されたけど…ちゃんとすぐ治った良い薬だったのに…何でだ?
「そう言えば…猫猫達は知ってる?東門の中空に毎夜白い幽霊が出るって噂…」
「…えぇ…それ怪談話…ですか?」
実体がない物は戦いようがないから苦手なんだよなぁー