第3章 媚薬 ※壬
ふむ。やはり総合的に見ても、イチモツを削ぎ落とした人の身体的特徴と一致しない。医務室にいたナマズ髭はやはり丸みを帯びていてどこか女性的なフォルムをしていた。細くて角張った体をしているというのであれば考えられないこともないが...これだけの筋肉量を維持するのは食事程度の調整では難しいはずだ。
ただ酒で増強された媚薬を口にしたのに、アレが反応しないということは...何か飲んでいるはず...
たぶんこの人がそうなのであれば、腹黒似非天女も同じと考えても良い気がする。
よし、姐さんにヤツを近づけるのは危険だ。絶対排除すべき人物。
「 さん...」
呼ばれて思考の海から脱してみると、頬を紅潮させ、悩ましげな呼吸をしているオッサンが視界に飛び込んできた。短時間でだいぶ作用が進行していたようだ。
「美味しいでしょ?お持ち帰りの分、要ります?」
「結構です。......こんなもの家で口にしたら妻が大変なことになる...」
あ、完全に黒だ。
後半は小さく口の中で呟いていたが、しっかり聞こえてしまった。
「 。いくつ食べた?」
私たちの状態に気付いた姐さんが、後ろから声をかけてきた。
姐さん!今しっかり検証しましたよ。危険です。気を付けて...
「姐さん...?んー...2つ?」
「1回に1つって昔言っただろ?」
「大丈...夫......だよ。でも……お義父さんには…内緒…ね?」
そろそろ...限界......眠...。
それから完全に意識がなくなった。