第3章 媚薬 ※壬
「いつもお菓子くれるでしょ?」
「いや、それはっんん!」
酒に浸けたベリーを巧克力で覆ったものが気に入りで、それを知っている姐さんは、今回余ったもので作ってくれた。果実感が強いので食べやすくなる利点があるが、アルコール度が高く、酒も媚薬も血行を良くする効果が強いのであっという間に血中濃度が上がるのが欠点になる。
とりあえず口にブチ込んでやろうとしたが、なかなか唇の力が緩まない。
「一回口付けたものは食べないといけないんだよぉ?」
巧克力が手の温度で徐々に溶けてくるので、早く食べて欲しい。あとそろそろ酒がまわってきたので早くチャチャッと口に入れてくれないかな…
頑なに口を開けようとしないので、持っていた椀をそっと側に置くと、そのまま高順の肩に手を乗せ後ろに倒す。
腹筋で堪えようとしたようだが、両手でが腰を掴んでるし、こちとらさっさと終わらせたいので、全力で体重をかけた。
「大丈夫大丈夫。毒なんて入ってないから。」
もの凄く何か言いたそうな顔をされたがその時の一瞬の隙をついて床に転がしてやる。フフン!どやっ!
んーーー。めんどくさいから…無理矢理突っ込むか。
唇に沿わしていたものをグッと口の中に押し込んでやった。体温で巧克力が溶けていたことと、水分量が多い果実であることもあって、口の中に投入することに成功した。
あとはこの状態のままで待機しとけば勝手に効果は出るだろう。
アルコールで気分が良くなってきたので、表情に締まりがなくなってきてることを自覚するが、もう自分で抑えられる状態ではなくなってきている。
「.........っ!!」
「......美味しい?」
どうやら効いてきたらしい。私も初めて食べたときは大変なことになった代物だ。