第3章 媚薬 ※壬
数日後、届けられた加加阿は、種子のままではなく、粉末になったものだった。
匂いを嗅いでみると独特の香ばしい香りがする。焙煎済みのものだ。
「洗浄、焙煎、皮剥き、粉砕の過程は省略されたってことかな。」
「そうだな...ここまで細かく砕かれていたら問題ないだろう。」
「じゃあやりますか?はい姐さん、準備できてるよ。」
「ああ。ありがとう、始めよう。」
湯煎にかけた状態で、粉末の加加阿をひたすら練る。力を加えて木ベラで根気強く...
その隣では がシナモンを粉末状にしている。
「姐さんそろそろ交代しようか。温度も上がってる頃だし、そろそろ手首疲れてきたでしょ?」
「あぁ、ありがとう。」
長時間練っている加加阿の中の油分が滲み出て、混ざり、流動性が出てきている。水冷できる環境にあると、もっと高温で混ぜて冷やす過程が取れるので、時間も短縮できるのだが、今の時期水冷が難しいので、気温が下がってきた夕方から作業を開始して、少し湯煎しては外に出して練るという温度を上げずにひたすら練る方法を取っている。時間はかかるが今の時期作るのであれば確実な方法だ。
猫猫には習慣がないのでやらないが、 は腰帯の予備を常に身に付けているので、それを使用して服の袖をたすき掛けで上に引き上げている。
猫猫や養父が教えたものではないので、その前に生きてきた環境で身に付けたものになる。珍しい習慣だ。
筋肉も脂肪もなくただただほっそりとしている猫猫とは違い、 どこでつくのかは脂肪は猫猫同様少ないがしっかり筋肉がついている。
女性がつける筋肉は男性のそれとは違いしなやかで身体のラインを崩すものではないが...
湯煎で柔らかくなったものを猫猫が練って、温度を上げ過ぎないように外で冷やしながら練る作業を が行っているが、腕の筋肉が練る際に強調されるので、ついつい目が行ってしまう
「姐さん?...そろそろ大丈夫?」
「ん...あぁ。そうだな。」
猫猫の視線を、感じたは器の中を猫猫に見せた。
滑かになりとろみのある液体はムラなく美しく仕上がっている。
あとは練りながら牛乳と乳酪を混ぜて、砂糖、桂皮を加えてテイストを少し固くした。
箸で坚果や干果を潜らせて、天板に乗せて乾燥させれば終了だ。