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薬師助手の秘密【R18】

第3章 媚薬 ※壬





「…………………………何でしょう?」


嫌々振り返ると、玉葉妃と目を合わせて頷いた腹黒似非天女は と猫猫にとんでもない依頼をした。


「媚薬を作ってくれないか?」


誰に使うんだよ誰に!!そんなもん使わなくても、正々堂々?夜這いしろ!成功率100%だろ!

うわぁー…姐さんメッチャ目ぇ輝いちゃってる…そうだよね、調合したいんだよね…



「時間と材料と道具。それがあれば」


媚薬に準ずるものなら作れます。と、キラキラ目を輝かせ可愛い笑顔で答えた姐さんに小さな溜め息を吐いた。
絶対に怪しい依頼なのに、姐さんが可愛くて…辛い…

 

万能薬…夢のような薬だが、実在はしないし作ることは不可能だ。しかし姐さんは、どんな病や人間にも効く薬を作りたいと、色んな薬を作っては自分の腕で実験していた。どんなに止めても姐さんは薬の実験をした。副産物で新薬も作っていたけども全く万能薬には近づけていない。
よくよく考えてみよう。例えば1つの効能、“痛み”に限局した万能薬を作ろうとしよう。でも痛みの原因は傷の痛み、骨折の痛み、臓器の痛み、精神への負荷による不定愁訴まで様々あるのだ。それが1つの薬で解決できる…となると痛みを関知する根幹…脳を麻痺させる必要がある。脳を麻痺させる状態…動くことも、考えることも出来なくなる…眠った人を作り上げる状態…が、答えになるだろう。じゃあ、それは良い薬なのか…答えは絶対に違う。しっかり原因を見つける医者が居て、治すのに一番効果的な薬を調合する薬師が居て、必要ならその人を助ける家族や友人がいてやっとその治療は成功するのだ。
でも、姐さんみたいに新しい薬を作ろうとすることは決して悪いことではないと思う。より良い薬が出来ればそれは患者のためになるのだから。
……自分を実験台にするのだけは肯定できないけど。
どんなに頑張っても医者としても薬師としても一人前にならなかった半端者だった当時の私は、無意識に自分の居場所を作ろうとしたんだろう…せめて知識だけは入れようと色んな本を読み漁った。功を奏して?実家では助手として少しだけど任せて貰えるようになった。


今回は、効能を考えて一から作る…姐さんが大好きな作業だ。


依頼の内容に犯罪臭がするのは気にくわないけど、姐さんに害が行かないようにすれば良いわけだし…





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