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薬師助手の秘密【R18】

第2章 护手霜





翡翠宮の侍女達は大変働き者で、ほぼ4人で仕事を回している。
猫猫の仕事は毒味だけだし、それすらしていない悠架にはほとんど仕事がなく、仕方なく猫猫の診察をしている。

と言っても、毒味前後で姐さんの身体チェックをするだけで、メチャクチャ楽しいんだけどね

やることが無さすぎて始めた事だが、今ではそれが定着している。
毒味前に結膜、粘膜、脈の診察をして、毒味後にも同じように確認するだけの簡単な作業。

姐さんはもともと体を毒に慣らしているから、普通の人みたいに明らかな症状が出ないことが多い。
が、何かしら身体反応があることが多いので確認してから妃達の食事を開始する。
それほど時間がかかるものではないので、咎められたこともない。


食べる仕事をしている姐さんは、カリカリに痩せていた体にほんのり肉がつき始めている。良い傾向だ。
マッドサイエンティストな姐さんは自分を毒の被検体にして楽しむところがあるが、あれだけ細ければ毒に当たった時、毒に耐えるだけの体力がないので倒れてしまう。また、致死量というのはからだの大きさに比例するので、肥満になる必要はないが、健康的な所まで持っていきたいものだ。

姐さんの仕事は、二回の食事と昼の茶会、そして数日に一度訪れる帝の滋養強壮料理を食べること。

更に自分達の食事も加わるので、姐さんが健康になっているのが分かって大変満足している。この職場最高。

さらに茶会で、余ったお菓子は姐さんにも配られるし、小柄でカリカリな姐さんは幼く見えるらしく、お腹いっぱいでも粥はおかわりをつがれ、菜の具は他のものより一つ多いこともある。
皆、姐さんに好意的で大変満足している。


「家畜にでもなった気分だ…」
「姐さんは、可愛がられてるから…どちらかというとペット?」
「もっとヤだろ。それ。」
「私は皆姐さんに優しいから幸せ…」
「…妓楼の小姐ねえちゃんたちを思い出すな…」


無愛想で無口で可愛げない姐さんは、なぜか遊女たちにとても可愛がられていた。ことあるごとに、菓子を持たされ、飯を食べさせられていた。


確かに思えばよく似た環境である。



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