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薬師助手の秘密【R18】

第2章 护手霜



私が口を出してしまった内容に関してはそのままでも命に別状は無いものである事も伝えておいた。


「あなた達の知識はまさに毒にも薬にもなる能力ね。字が書けることも言っていれば、お給金はもっともらえたはずだけど...」
「拐かされて来たのに、人拐い共に今も給金の一部が送られていると考えると腸が煮えくり返ります」
「奴らの懐をあたためてやる必要性が見出せません」


侍女頭の言葉に猫猫、続いて が答える。
売られた時期は違うが、姐さんと同じことを考えていたらしい。


「つまり、自分の給料が減ってでも、そいつらに酒代を与えてなるものかということね」


賢い女官は 達の動機を理解してくれたらしい。


「無能なら二年の奉公でいくらでも替えがきくものだしね」


そこまで理解しなくていいよってところまで察してくれた。
侍女頭は、少し考える素振りを見せると、猫猫に水差しを手渡した。


「え…」


バランスが悪かったのか、侍女頭が手を離した瞬間に猫猫の手がぶれて水差しが落ちた。
咄嗟に も手を伸ばすが、油断していたので手は届いたが完全には阻止できず、嫌な音をたてて床に転がった。


「あらら、これって結構高いのよ。下女程度のお給金じゃあ、払えないくらい…これじゃあ、実家への仕送りもできないわね。むしろ請求するくらいじゃないと」


猫猫は侍女頭がいわんとしていることがわかったらしく、無表情の中に皮肉めいた笑みを浮かべていた。
の方がついていけない。


「もうしわけありません。毎月、仕送る分から差し引いてください。足りなければ、私の手持ちのほうからもお願いします」
「ええ、宮官長のところで手続きしておきます。それと」


侍女頭は落ちた水差しを卓子の上に置き、徐に木簡を取り出した。さらさらと筆を滑らせる。


「これは、毒見役の追加給金の明細よ。危険手当というところね。気になる点があれば言ってちょうだい」


金額は、猫猫の現在の給料とほぼ同額だった。手数料でとられる分がないだけけど得したことになる。
ここでやっとは侍女頭の意図に気づいた。


…飴の使い方が上手いわぁ~…


更に侍女頭は にも何か考えてくれようとしたが、危険な業務がないので仕送り分の差し引きのみをお願いした。
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