第2章 护手霜
「皿は銀製のものに替えたほうがよろしいと思います」
一日目の活動報告として、侍女頭の部屋に呼び出された際に、すかさず姐さんが毒味の食器にについて進言すると、侍女頭は溜息をつく。
「ほんと、壬氏様の言った通りね」
侍女頭は、壬氏様の指示でわざと銀食器を使わなかったことを告白した。
あの腹黒似非天女がっ!!!
「では、食事の内容や量、毒味の膳の順番もいつもとは違いましたか?」
「いえ?それはいつも通りです。...何か?」
侍女頭の様子からして、私からも言って良いと判断する。
「毒味の順番は、離乳食から行った方が良いです。今日の離乳食には味付けに塩が入っていました。十分薄い味付けですが、今の段階の離乳食に塩は要らないです。塩分過多になるので味付けは出汁だけで十分。玉葉妃の食事を食べた後に離乳食を口にすると、塩見の感覚が麻痺します。まずは離乳食の味付けから塩を抜いて貰い、故意に塩が含まれていないことを確認した方が言いと思います。」
「...そ、そうなの?」
「はい。あと、玉葉妃の食事の内容ですが、ちゃんと栄養バランスを考えているものだとお見受けしました。が、今はまだ離乳食に移行し始めたばかり。まだ授乳頻度もあるようなので、もう少し内容を変更した方が言いと思います。肉は角煮のような脂身の多いものはまだ控えた方がいいです。あとは野菜を少し多めにして、海草類ももう少し多めにして貰ってください。今の時期の赤子は離乳食よりも授乳の方で栄養をとっていますので、まだ母親が赤子の分も栄養をとらなければなりません。可能であれば、変更を...」
「...く、詳しいのね?」
ついつい熱く語ってしまい、侍女頭が引いているようだ。
が、スイッチが入ってしまった は毒を前にした猫猫と同じくらい止まらないのだ。
「養父が詳しい人なんです。その影響で、姐さんは薬や毒に詳しいですが、私はちょっとズレてこういうものに興味を持ってしまいまして...」
「そうなのね。二人がいると、何か頼もしい気がするわ」
「「ありがとうございます」」
思いの外、すんなりと受け入れて貰えたようだ。