第2章 护手霜
達は、皇帝の寵妃の侍女となった。
寝台2つ分の広さの個人部屋が与えられ、布団も藁から寝台へとランクアップした。
今までがピラミッドの底辺に位置しており、現在は真ん中くらいの階級である。
最下層の下女達が寵妃の侍女になることに、もともと玉葉妃付きの4人の侍女達は難色を示していた。が、覚悟していたような嫌がらせはなかった。
むしろ、同情的な目で見られていた。
…姐さんが。
私は、どういう扱いをすればいいのか分からなかったらしく、部屋の掃除を行ったり細かな雑務を中心に行っていたが、姐さんの仕事は毒味役だった。
玉葉妃の懐妊がわかった頃、二回ほど毒が盛られていることがあったらしく、毒味役だった一人は軽いものですんだが、もう一人は神経をやられて手足が動けなくなっている
この度、東宮の件もあるので神経質にもなっているようだ。
誰だって自分の身が可愛いもので、恐る恐る口にしていた毒味を誰かが代わってくれるというなら、それはもう感謝ものだろう。
姐さんは毒に対する恐怖心は全くないけど...
玉葉妃の侍女頭は、食事を一つずつ小皿に盛ると猫猫の前に置いた。
皆、すまなそうに猫猫の事を見ているが、止める気配はない。
それにしても、毒味の器が陶器ってどういう事?
銀製の食器が常識じゃないの?...後宮ってそういう常識も無いところってこと?
姐さんの顔をうかがってみると、案の定、思いきり眉をひそめていた。.
姐さんは、食事の毒味をじっくり行っている。
何となく気になって、姐さんの後ろに立って姐さんの器の食事と、玉葉妃のお膳を見る。薬膳をふんだんに使用している食事だが...今は授乳中の身だし...
姐さんが毒がないことを確認して、玉葉妃の食事が始まった。
次に姐さんの前に出されたものは、公主様の離乳食だ。
離乳食が初まったので、公主様の口に入るものの毒味も姐さんが担当することになる。
姐さんが毒がないことを確認したあと、何となく気になったので、横から姐さんが食べた離乳食の残りを食べてみた。
「...ん。なるほど...」
「気になるものでも入ってたか?」
「んー...毒じゃないよ?」
「知ってる。」
私と姐さんの様子を、玉葉妃と侍女達は不思議そうに見ている。
もし可能なようであれば...後で言ってみようかな...