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薬師助手の秘密【R18】

第1章 後宮下女




「姐さんっ、出よう!!」
「!!...あぁ。」


とほぼ同時に勘づいたらしい猫猫も急いで踵を返した。

背後で動く気配がする。ほとんど音を立てずに一気に距離を詰めて来るので、自然に回避...は出来なさそうだ。


姐さんの肩に、天女の腕が伸びたことを察し、とっさに左手で姐さんの右手首を掴んで前方に引っ張る。左手が前に出切ったところで右手に持ち変えて、その体を自分の右に来るように引っ張った。

直後に、天女の手が空を掴んだ。


うっかり、姐さんを守りたい一心で動いたが、不味かったかもしれない。
後方を確認せずに動ける人間は少ない。


早くこの場を辞したくて、さらに足を早めようとしたところ、肩にゴツい手が置かれた。指が食い込んで地味に痛い。強制的に歩みが止められたので、姐さんだけは逃がそうと、その背中を押そうとしたが...


「だめじゃないか。君“達“は居残りだよね?」


複数形...姐さんも含まれたっ!!
観念して、恐る恐る振り替えると、眩しくて直視できない天女の笑みが間近で出迎えた。

ゾワッと寒気が走り、つい肩に置かれた手を払って、姐さんのところまで下がる。
腕をさすり落ち着かせようとするが、ゾワゾワするものが引く気配はない。


そっと腕をまくって、立派に立ち上がったものを認めたので、姐さんに見せた。


「寒イボ...」
「これはまた立派な...」


もともと体毛はほとんど無く、目視で存在を確かめられないほどなのに、今は全ての毛穴がその存在を現している。
猫猫が、天女の方を見て が極度の男嫌いであることの説明をしてくれた。間違っていないし、鳥肌という事実もあるので信じてくれたようであるが...
そっと天女の顔を見ると、気遣わしげな表情をしている……ように見せかけて、その目が全く気遣うものではなく、詮索するような、またほの暗い何かを孕んだ物で、本気で恐怖した。


なにこの人…メチャクチャ怖っっ!!!


自然と顔の血の気が引いて、目に涙の膜が張った。
それが信憑性を増したのだろう、天女は姿勢を正した。





180㎝位ありそうな男なので自然と距離が空き、少し安心した。








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