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幼なじみの人気声優〜スパダリ生活

第15章 見せつけられる実力・・・・。


――アフレコが終わり、他のキャストはそれぞれ次の現場へと向かった。

スタジオには、唯と新だけが残される。静かな空間の中で、新が唯に向かって声をかける。

「先輩〜、この間はありがとうございました」
にこやかな笑顔で、軽やかに言う新。

「この間って……??」
唯は首を傾げる。

新はひそりと耳元に寄り、低く囁いた。
「キスしたじゃないですか……」

唯「……!!っ」
唯は思わず息を呑み、顔が熱くなる。咄嗟に距離を取り、スタジオの外へ足を向ける。

新も後ろから、足音を控えめに追いかける。
「なんか距離遠くないですか?」
「次の現場があるから急いでるの」
「冷たいなぁ……キスまでした仲なのに」
「あれは……事故みたいなものでしょ」
「僕はそう思ってませんけどね?」

唯は思わず廊下で足を止め、新の方を振り向く。
「……っ私は、キスされたと思ってないから」

新はクスッと笑い、挑発するように目を細める。
「先輩ってほんと怖いもの知らずっていうか……僕に弱み握られてること、忘れてません?」

ゾクッと背筋が寒くなるのを感じながらも、唯はしっかりと問い返す。
「新くん……何が目的なの……?」

廊下に二人だけの空気が張り詰める。
唯の心臓は早鐘のように打ち、頭の中で冷静さと恐怖がせめぎ合う。

新はにっこり笑いながらも、唯の腕をグッと引っ張り、自分の方に近づける。

「……キスしてくれたら教えますよ……」

「……っ、ふざけないで!!」
唯は必死に新を突き放す。

新は肩をすくめ、少し悲しげに顔を歪める。
「あーあ。これ以上嫌われたら、僕悲しいなぁ……」
小さくため息をつき、低く続ける。
「僕……一番がいいんですよ。どのアニメ作品でも、僕が主役で居たいんです。正直、僕より目立ってる人って、すごく邪魔なんですよね……」

その瞳は黒く鋭く、唯の心に鋭く刺さる。

「しかも先輩達って幼なじみですよね?杉田さんと中村さん……そんなの、もう利用しろって言ってるようなものじゃないですか……」

唯は言葉が出ず、立ちすくむしかなかった。

新:「それに、僕好きな言葉って、使えるものはなんでも使うんですよ」


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