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幼なじみの人気声優〜スパダリ生活

第3章 タワーマンションの夜景


エプロンとガーリックの香り

キッチンに足を踏み入れた瞬間、照明に照らされたアイランドカウンターが目に飛び込んできた。
黒を基調にしたシンプルな空間。それなのに、どこか温かみがあるのは、棚に並んだスパイスや、使い込まれたフライパンのせいだろう。

「唯、これ使え」
そう言って、智和が差し出したのは白いエプロン。
ひらりと揺れる布を受け取って、思わず笑う。
「ありがとう……でも、なんか変な感じ」
「似合ってるよ」
迷いなく返ってきた声に、頬が熱くなる。

エプロンの紐を後ろで結ぼうとした瞬間――
「貸して」
気づけば智和の手が、自分の背中にあった。
ゆっくりと紐を引き締める動作。指先が、ほんの一瞬、腰に触れる。
呼吸が浅くなるのを感じて、視線を逸らした。

「よし、完成」
何事もなかったように微笑む智和。その横顔が、キッチンの灯りに照らされてやけに色っぽい。

「俺も手伝うから」
そう言って、黒のエプロンを身につける智和。その姿に、なぜかドキリとする。
(……なんでエプロン姿で、こんなに雰囲気あるの)

智和「で、何作る?」
唯「えっと……ステーキでいいかな?」
「賛成。じゃあ、ご飯はガーリックライスで」
「いいね。それと、サラダとスープもつけよっか」
自然と、二人で作戦会議みたいに顔を寄せ合う。
スパイスを探して智和と同時に手を伸ばしたとき、指先がかすかに触れた。
その一瞬、時が止まったみたいで――

(やばい、意識しすぎ)
心臓の音が、鍋の中で煮立つスープよりもうるさい気がした。

◆ その頃、悠一は――
リビングのソファで、大画面に映し出された某有名ファンタジーゲームに集中している……ように見えた。
だが、時折、こちらに向けられる視線に、背中がくすぐったい。
(……見てる)
でも、何も言わない。その沈黙が逆に緊張を煽った。

ダイニングで再会パーティー

料理が並んだテーブルは、まるでちょっとしたレストラン。
ステーキの香ばしい匂い、ガーリックライスの湯気、サラダの鮮やかな緑。
「――こうやってまた会えたのも、何かの縁だし」
智和が、コップを軽く持ち上げながら微笑む。

食事が始まってしばらく、懐かしい話や仕事の話で笑い合って――
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