第11章 新たな...企み。
新
「せーんぱいっ~♡ あれ? 唯先輩、お酒飲めないんですか?」
カラン……。グラスの中で氷が音を立てる。
唯の手元には、ウーロン茶。
唯「ううん。飲めないわけじゃあないけど……」
(内心)……飲みすぎて、悠一と智和に襲われたこと……思い出しちゃった……。
記憶を振り払うように、ごくごくとウーロン茶を飲み干す。
新
「あっ! もしかして……お酒で悠一先輩と、なんかあったとか?」
図星を突かれて、思わずむせる唯。
唯「けほっ……っ、な、なわけないでしょ!」
新「あっ、正解でした? ほんとに分かりやすいですね~」
にやりと笑いながら、新はするりと唯の隣に腰を下ろす。
新「まぁ確かに……こんなところで悠一先輩となんかあったら、大変ですもんね?」
唯「……っ! お願いだから、誰にも言わないでね……」
新「それはいいですけど……僕からも、条件あること、忘れてないですよね?」
唯「そっ、それは……」
視線を逸らす唯。
新の目は、からかうように光りながらも、どこか真剣だった。
グラスの水滴が、テーブルに小さな輪を作っていた。
新が、何気なく唯の手をとる。
新「言うこと聞いてくれるなら、内緒にしてあげますよ」
唯「やっ……」
反射的に、手を振り払ってしまう。
はっとして、慌てて謝る。
唯「あっ……ごめん」
そんな唯の指先を、逃さないようにキュッと絡め取りながら、新は微笑んだ。
新「ダメじゃないですか、先輩。僕、酔った勢いで全部喋っちゃいますよ?」
絡めた指を軽くなぞりながら、新の声が低く甘くなる。
新
「先輩って可愛いですよね。指先握っただけで、すぐ赤くなるところとか……。ここじゃなかったら、押し倒しちゃってたかもです」
唯「~~~っっ!」
上着をぎゅっと掴む唯。
唯
「……確かに、私たちは一般の人とは少し違うから。プライベートのことは知られたくないっていうのはあるけど……だからって……なんでも許すわけじゃない」