第11章 新たな...企み。
スタッフ女子が、ほろ酔いでグラスを片手に絡んでくる。
スタッフ女子
「も〜神里さん、イケメンばっか知り合いでうらやましい~!どんな裏わざ使ってんの~?」
唯
「いや……その……偶然としか……」
スタッフ女子がふらりと立ち上がり、手で口元を押さえる。
スタッフ女子
「うぷっ……ちょっと酔った……。トイレ行ってくるね」
唯
「あ、じゃあお水もらっておきますね」
グラスに冷たい水を受け取りながら、ふっと隣を見ると新が微笑んでいた。
新
「でも良かったです。優しそうな先輩ばっかりで……安心しました」
唯は思わず視線を向ける。そこには、別のテーブルで監督やスタッフたちと談笑する悠一の姿。自然体で場を回していて、相変わらず中心にいる。
日笠
「工藤くん、愛嬌あるからどこの現場でもやっていけそうだよね!」
新
「そんなことないです! 正直……大丈夫かなとか、やっていけるかなって……ドキドキしてるんですよ」
その真っ直ぐな返答に周囲が和やかに笑う。
(唯内心)
……今日のはなんだったんだろう。
壁際で見せたあの悪戯っぽい顔と、今みたいに謙虚で真面目な顔……。
どっちが本当の新くんなんだろう。
考え込んでいたら、不意に新と目が合ってしまった。
慌てて視線をそらす。心臓が不自然に跳ねる。