第11章 新たな...企み。
唯:「おはようございます」
(……あれ?なんかざわついてる?)
ディレクターや音響監督に挨拶。
唯:「あの、今日なんかあるんですか?」
ディレクター:「あっ、神里さん。今日から“期待の新人くん”が参加するんですよ」
日笠陽子:「神里さんおはよ!聞いた?新人声優来るんだって。すっごく可愛い子らしいよ!」
平野綾:「えっ!?男の子なんでしょ?しかも結構可愛いって噂だよ。25歳なんだって」
坂本真綾:「25歳かぁ〜若いなぁ。なんか期待しちゃうね」
唯:「新人かぁ……。現場でずっと後輩ポジだったから、なんかすごく新鮮だな」
そこへ音響監督とディレクターが入ってくる。
音響監督:「はい、皆さん集まってますね。では、新人声優さん、自己紹介をお願いします」
新:「皆さん初めまして!今日からお世話になります。工藤新(くどう しん)です。どうぞよろしくお願いします!」
(わぁ……先輩方めちゃくちゃキラキラしてる……すごい。もうこの空気だけで飲まれそうだ……)
音響監督:「今日は交流会もかねて歓迎会もしましょう。他のキャストさんも来るから挨拶しとくといいよ」
新:「わ〜!ありがとうございます!助かります」
――そのとき、新がふと唯を見つける。
新:「……あれ?」
唯:「えっ、わ、私?」
新は迷わず歩み寄り、にっこり笑う。
新:「今日はちゃんとお財布持ってきてますか?先輩?」
唯:「……っ!? あ、あの時の!? ま、待って、どうして分かったの!? 変装してたのに!」
新:「声で分かりました。神里先輩の声は忘れられません」
唯:「……っ」
新は唯の手を両手でぎゅっと握る。
新:「初めてのアフレコ現場で、まさか神里先輩とご一緒できるなんて……運命、感じますよ」