第8章 甘く蕩ける夜、
そのまま、浴衣を少しずつ脱がせていく指先の感触に、体が反応してしまう。
「俺も智和も、唯も、幸せなんだから……」
私は思わず声を詰まらせ、心の中で必死に抵抗する。
「智和と同じこと言わないで……!」
悠一は呆れたように目を細め、ふっと笑う。
「あいつも同じこと言ったのか……」
その言葉に、余裕と悪戯心が混ざった表情を浮かべる。
――どうして、こんなにドキドキして、胸が熱くなるんだろう。
悠一の指先ひとつひとつに、抗えない自分がいることに、少しだけ恥ずかしさを覚える。
涙で潤んだ視界の中、悠一の指が私の顎にそっと触れる。
顎をくいと持ち上げられ、逃げられない距離で目が合う。
「で……どうする?」
低く、甘く、挑発するような声。
「ゆっ……悠一がしたいなら……いいよ」
片手で口元を覆い、震える声でそう告げる。視線は逸らせない。
――その瞬間、悠一がふっと笑う。
なんでこいつはこんな顔をするんだ。
泣き顔まで可愛くて、反則だろ。もっと乱してやりたくなるじゃねぇか……。
「けどまぁ、唯にしちゃ上出来か」
そう言って、額から頬へ、そして唇へと優しく口づけが落ちる。