第8章 甘く蕩ける夜、
広くラグジュアリーなスイートルーム。
天井まで届く窓から夜景が差し込み、柔らかな間接照明が落ち着いた空間を包む。
ツインベッドの一つ側で、私はキャリーケースから荷物を取り出しながらそわそわしていた。
「……ここから、こっち……来たら、怒るからね!」
思わず照れくさく声を上げながら、ベッドの端に体を寄せる。
その仕草に、悠一はぷっと吹き出して笑う。
「何? 照れてんのお前?」
「だって……///」
声が小さくなり、視線を逸らす。
悠一はにこりと微笑み、私の頭をポンッと軽く撫でながら手を置く。
「まぁ心配しなくても…… 唯が嫌なら何もしないよ」
「……///そっそうやって、油断させる気でしょ」
思わず顔が赤くなる。
悠一は荷解きを終え、ベッド脇のタオルを肩に掛けながら浴室へ向かう。
「さぁな……先に風呂行ってくる」
浴室から聞こえる水音。しばらくして、悠一が浴衣姿で戻ってくる。
髪はまだ湿っていて、少し乱れた前髪が色気を帯びている。
肌の水滴がわずかに光って、間接照明に照らされる姿が官能的で、思わず息が詰まる
浴室、すげぇーな……すごく綺麗だし、湯船にジェットバスまでついてる。多分、この部屋相当高いぞ」
悠一はソファに腰かけ、タオルで髪を拭きながら、テレビをつけてバラエティ番組を眺める。
「ほら、 唯も入ってこいよ」
私は視線を逸らしながら、ぎこちなく頷く。
キャリーケースからお風呂道具を取り出し、ホテルの浴衣を手にして浴室へ向かう。
心臓はドキドキ、身体は少し熱く、同時に甘い緊張感が胸に広がる。
扉を開けて中に入ると、蒸気と湯気で包まれた空間
私は自然と扉に体を預けるようにしゃがみ込む。
心臓が、息が、どうにもならなくなるほど早くなる。
「……ほんと、心臓もたないよォ……///」