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幼なじみの人気声優〜スパダリ生活

第5章 崩れていく境界線


杉田「……唯のこと以外なら、譲ってあげるよ」
ソファにもたれ、余裕の笑み。だが、瞳の奥は冷たい。

中村「は? ぬかせ……先に唯をイかせるのは、俺だ」
ぐっと身体を前に乗り出し、低い声で言い放つ。

杉田「はぁ? だから、それはダメだって」
唇の端を吊り上げる。

中村「邪魔すんなよ」
二人の間に火花が散る。


「……あ、あの……ふ、二人とも……!?」
唯の声は震えていた。
だが、彼らには届かない。


中村「俺の方が先輩だかんな!? 杉田より上なんです。早生まれだから。先輩に..。譲るもんやろ……!」
子どもみたいに言い張る中村。

杉田「あはは、なにそれ……でも俺の方が唯と手を繋いだもんね~」
首を傾げて、さらっと爆弾を落とす。
「ちなみに――唯のファーストキスも、俺がもらってるから」

中村「……はァ!? どういうことかな杉田……お前、いつの間に……!」
低音ボイスが一段と鋭さを増す。

(唯内心)
(ちょ……まって……ファーストキスっていつの話よ……!? ってか、何の話してんのこの二人!!)

必死に顔を逸らしながら、身なりを整える唯。
「……っそもそも!!」
声を張り上げる。
「酔わせて女を襲うなんて、最低だからね!!」
赤い頬で震えながら、力いっぱい叫んだ。



中村「はは……すげー感じてたくせに、説得力ねぇーな」
口角を吊り上げ、悪い笑み。

杉田「ね。甘えた声で、あんなに啼いてくれたのに」
指先で自分の唇をなぞりながら、甘い声で続ける。
「声優だけあって、啼き声も可愛いとか……さすが推しだよな」

二人のやり取りに、はさらに顔を真っ赤にし――

「っっ……!! ま、まさか、いつも女の子にこんなことしてないよね!? いくら幼なじみでも、さすがに、こんなの……ダメだからね!!?」

中村は、にやりと笑って――
中村「そもそも……酔わせて襲うなんて、唯にしかしねぇーよ」

杉田「俺ら、他の女子に興味ないよ?」
さらっと、でも目は真剣。

唯は、息を呑む。
顔を膨らませ、けれど胸の奥は――ざわざわと熱くて。

「唯そっ……そ、それは……っ!! そ、そういう問題じゃないんだからーーっ!!」
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