第4章 甘い泡と、溶ける距離
唯「でも……二人には、素敵な人、いるんでしょ?」
私だったら、放っておかないもん。優しい眼差しで2人をみる。
そう続けた瞬間、二人の男は顔を見合わせる。
そして――智和が、ゆっくりと身を乗り出した。
「じゃあさ、唯」
その声は甘く、でもどこか底が見えない。
「もし俺たちに、誰もいないって言ったら――放っておかないでくれる?」
そう言いながら、唯の頬を、自分の方へ向ける。
唯「……え?」
言葉を失った瞬間、悠一の影が、もう片方の肩に落ちる。
中村:「俺も杉田も、フリーなんだけど?」
低い声が、耳にかかる。息が震えた。
唯「……ぷッ……あははっ……何それ……冗談でしょ……」
笑おうとした。でも、二人の視線は、冗談じゃなかった。
中村「冗談じゃない」
悠一の手が、 唯の顎をすっとつかむ。
一瞬の静寂のあと――唇が、重なった。
「――っ……!」
驚きで目を見開いた瞬間、悠一の舌がするりと入り込む。
ぬる、とした熱い感触に、頭の中が真っ白になる。
「あっ……んッ……」
声が漏れる。
心臓の音が、耳の奥で暴れてる――
その横で、智和の視線が、熱を帯びていた。
(……ここから、どうなるの……?)