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幼なじみの人気声優〜スパダリ生活

第4章 甘い泡と、溶ける距離




食器を片付け終え、三人はソファとローテーブルのあるリビングに移動した。

窓の外には、東京の夜景。
シャンパングラスを指でなぞりながら、唯はほっと息をつく。

「……このシャンパン、すごく美味しい」
「安元さんから貰ったやつなんだよ、前に」
智和が笑うと、その声に不思議と安心する。

けれど――悠一は、そんな空気を少し壊すみたいに、空になったグラスにシャンパンをつぎ足した。
まるで、それが当然のことみたいに。
(……え、ちょっと、ペース早くない?)
そう思う間もなく、再び泡が静かに弾ける音。

杉田:「中村、お前、飲ませすぎ」

中村:「ん? だってこういう時は……飲まないとやってられないでしょ」低く笑って、悠一は唯を見つめる。その視線が、妙に熱を帯びている気がした。

グラスを片手に、唯は頬を赤くして、ふにゃりと笑った。
「ほんと……ついてないなぁ……んー……」
とろんとした目で天井を見上げる。
「でも……ここに住んだら、楽しいだろうなぁ……」
その無防備な一言に、二人の胸の奥で、何かが静かに軋んだ

「……酔ったな」
悠一の声が、妙に近い。
「んん〜」
答えにならない声を漏らす唯。頬にかかる髪を、智和がそっと耳にかけた。

杉田:「家賃なんて、俺たちが払うよ」
軽い口調なのに、その視線はまるで射抜くように熱い。
(……なんで、そんな目で見るの)
息が詰まりそうになる。

「なら、いいじゃん。俺たちと住めよ」
悠一が、テーブル越しに低い声を落とす。その目が、どこか危うい。


唯「だって……そんなの……結婚、遠のいちゃうよ……」
机に頬を預けたまま、ふにゃりと笑う。その一言で、空気が少し変わった。

視線を交わす、悠一と智和。
無言の会話。
「――チャンスだろ」
「――わかってる」


「相手、まだいないの?」
智和の声に、唯はこくりと頷く。
唯「うん。職業柄さ……恋愛って難しいし。モデルもやってるから……偏見も多いし」
その言葉は、アルコールで柔らかくなって、とろけるみたいに甘い。

「……恋人も、いない?」
悠一の声が、低くて深い。

「いないってば……」
そう言って、ふにゃりと笑う唯でも、その笑みは――どこか無防備すぎた。

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