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先生と生徒

第10章 夜明けまで許さない


甚「なんでもねぇわけねぇだろ。……あんなやつに触られて、平気な顔できるほどオマエは鈍くねぇはずだ。」

吐き捨てるような言葉に、胸が痛んだ。

彼の怒りは、元彼に対してだけじゃない。

めいがそれを許してしまったことにも、向けられている。

「……ごめん。でも、ほんとにもう……。」

甚「謝って済むかよ。」

低い声が重なった瞬間、唇を塞がれた。

荒々しい、怒りにも似た口づけ。

必死に抗う力も、触れられた熱に溶かされていく。

息が続かなくなるまで貪られ、ようやく解放された時、彼は額を押し付けるようにめいを見つめていた。

その瞳の奥に燃えるのは、嫉妬だけじゃない。

強烈なほどの“俺のものだ”という確信に近い感情だった。

甚「……他の男に触られるくらいなら、俺が全部壊す。」

吐き捨てるような声に、背筋が震える。

玄関先では到底立っていられず、気づけば甚爾に抱き上げられてリビングへと連れて行かれていた。

無骨な腕に抱えられる感覚は乱暴なはずなのに、どこか安心してしまう。

ソファへ下ろされ、すぐさま覆いかぶさられた。

「……甚爾、まって。」

必死に声をかけると、彼の眉がわずかに揺れる。

けれど次の瞬間、苦笑にも似た表情を浮かべ低く囁いた。

甚「待てねぇんだよ。……嫉妬で頭おかしくなりそうだ。」

乱暴な言葉の裏に隠された切実さが、胸を締め付けた。

抗うよりも、受け止めたい。

そう思った瞬間、また唇を奪われ呼吸も心も彼に支配されていった。




その夜、室内には2人の荒い息遣いと重なり合う音だけが響いた。

嫉妬は激情に変わり、強引さはどこまでも甘い執着へと溶けていく。

涙が滲んでも甚爾の手は決して乱暴に突き放すことはなく、逆に抱き締める力を強めた。

甚「……泣かせてんの、俺の方じゃねぇか。」

額を合わせ、苦く笑う甚爾の声が耳元に落ちる。

その言葉に、胸が大きく揺れた。

さっきまで自分を引き裂きそうだった嫉妬が、いつのまにか温度を変えていた。

彼に抱かれることで、全身を覆っていた不安や後悔が溶けていく。

――気づけばもう、抵抗する理由なんてどこにもなかった。
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