第11章 逃れられぬ腕の中で
ソファに押し倒されたまま唇を塞がれて何度も息を奪われる。
乱暴なはずの口づけが、どうしてこんなに熱くて苦しいのに切なくなるのだろう。
頬に掛かる彼の手は大きく、強くて――
でもどこか震えていた。
「……甚爾。」
名前を呼ぶと、その声に反応するように彼の視線が揺れる。
翡翠のような瞳の奥に嫉妬と不安と、どうしようもない独占欲が燃えていた。
甚「……あんなやつに、2度と触らせねぇ。」
低い声が、耳の奥を痺れさせる。
強く抱き寄せられ、背中にまわされた腕が抜けられないほどに力強い。
唇を塞がれたまま、衣服の隙間から熱い掌が忍び込んでくる。
肌に触れられるたびに、全身が痺れるように敏感に反応してしまう。
路地裏での出来事で心が乱れていたせいか、今は彼の熱を全身で受け入れてしまっていた。