第8章 禁じられた熱
傑「……っ、く……。」
深く奥へと突き立てられ、熱いものが注ぎ込まれる。
その瞬間、めいも再び果て震える体を机に押し付けられながら甘い痙攣に飲み込まれていった。
荒い呼吸が重なり、図書室にしばらく熱気が漂った。
傑は乱れた髪をかき上げ、冷たい笑みを浮かべる。
傑「……やっぱり面白い女だ。悟と取り合うのも悪くないね。」
そう囁かれ、めいは震える体で言葉を失ったまま机の上で息を整えることしかできなかった。
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その日、めいはひどくみじめだった。
長く付き合った彼氏に“もう冷めた”と一言で振られ、理由も掴めないまま胸に空洞だけが残っていた。
心臓がまだ痛むのに仕事帰りの電車の窓に映った自分は思った以上に平気そうで、そのことが余計に惨めに感じられた。
忘れたい、忘れなきゃ。
その焦燥に駆られて、めいは初めて“マッチングアプリ”を開いた。
数時間のやり取りで決まった待ち合わせ。
相手の男はプロフィール写真通り、清潔そうで話も軽快だった。
居酒屋でグラスを傾け、くだらない話で笑っていると、一瞬だけ痛みが紛れた気がした。
“やっぱり、こういうのも悪くないな”なんて思いながらも、心の奥では虚しさが消えない。
2軒目を出た頃、男がふとめいの肩を抱いた。
男「もうちょっと飲みたいな、良いとこ知ってる。」
酔いでぼんやりした頭でついていったが、歩いているうちに気づいた。
――これ、ホテル街じゃない?
「ちょっと、どこ行くの。」
男「良いじゃん、楽しもうよ。忘れたいんだろ?」
軽く笑って手を引かれる。
胸の奥がざわつき、足が止まる。
「……やっぱりやめる。帰る。」
勇気を振り絞って言うと、男の顔が一瞬歪んだ。